『Oracle TimesTen Cache Connect to Oracle開発者および管理者ガイド』で説明されているように、キャッシュ・グループとは、中央のOracleデータベースに保存されている表のグループが、ローカルのTimesTenデータ・ストアにキャッシュされたものです。この項では、TimesTenデータ・ストア間でキャッシュ・グループをレプリケートする方法について説明します。キャッシュ・グループをレプリケートするためのレプリケーション・スキームの作成方法については、「キャッシュ・グループのレプリケート」を参照してください。
この項で説明するすべてのキャッシュ・グループのレプリケーション例では、Oracleデータベースが実行されている1台のデータベース・サーバー、およびTimesTenデータ・ストアがホスティングされているA とB という2台のアプリケーション・サーバーが存在していると想定しています。データ・ストアA とB のTimesTenキャッシュ・グループは、Oracleデータベース内の同じ表のサブセットをキャッシュしています。
この項では、キャッシュ・グループをレプリケートする次の3つの例を示します。
データ・ストアA とB のキャッシュ・グループに、Oracleに保存されている同じカタログ情報の同一のサブセットを含めます。この情報は4時間ごとに変更されます。
図1.14に示すように、データ・ストアA とB の両方にREADONLYキャッシュ・グループを作成できます。データ・ストアA のキャッシュ・グループにカタログ情報をキャッシュし、キャッシュ・グループA からキャッシュ・グループB への単方向レプリケーションを設定できます。4時間ごとにカタログ情報がリフレッシュされるように、キャッシュ・グループA のAUTOREFRESH INTERVAL値を設定します。レプリケーションでは、このサイクルで、キャッシュ・グループB に自動的にリフレッシュされます(キャッシュ・グループB のAUTOREFRESHは無効にする必要があります)。
図1.14 READONLYキャッシュ・グループのレプリケート
データ・ストアA とデータ・ストアB のキャッシュ・グループに、同じOracleインスタンスの同一のサブセット(顧客プロファイル)を含めます。顧客プロファイルは、いずれのキャッシュ・グループでも問い合されます。プロファイルは、TimesTenでは更新される場合がありますが、Oracleでは更新されません。更新される場合、アメリカの東部および中部の顧客はデータ・ストアAのキャッシュ・グループで更新され、西部およびアラスカ/ハワイの顧客はデータ・ストアBで更新されます。
図1.15に示すように、データ・ストアA とB にはSYNCHRONOUS WRITETHROUGHまたはASYNCHRONOUS WRITETHROUGHキャッシュ・グループを作成できます。このキャッシュ・グループでは、キャッシュ・グループに対する更新が自動的にOracleに送信されます。2つのキャッシュ・グループ間には、一般ワークロードの双方向レプリケーションを設定できます。このスキームでは、A で行われたキャッシュ・グループへの更新は、自動的にOracleに適用され、B にレプリケートされます。同様に、B で行われたキャッシュ・グループへの更新は、自動的にOracleに適用され、A にレプリケートされます。
図1.15 WRITETHROUGHキャッシュ・グループのレプリケート
詳細は、「キャッシュ・グループのレプリケート」を参照してください。
データ・ストアA とB のキャッシュ・グループに、同じOracleインスタンスの同一のサブセット(ショッピング・カート情報)を含めます。ショッピング・アプリケーションは、TimesTenにキャッシュされたデータに対して挿入、削除、更新を行います。このキャッシュ・されたデータは、最終的にOracleにフラッシュされます。
図1.16に示すように、同じUSERMANAGEDキャッシュ・グループを作成して、ショッピング・カート情報を保持できます。2つのキャッシュ・グループ間に一般ワークロードの双方向レプリケーションを設定し、TimesTenからOracleへの更新の自動伝播を無効にします。いずれかのキャッシュ・グループに対する挿入、削除、更新のみでなく、新しいショッピング・カートの作成も他方に自動的にレプリケートされます。2つのキャッシュ・グループには、ユーザーのショッピング・カートの同一コピーが常に含まれているため、ショッピング・アプリケーションでいずれのデータ・ストアにもアクセスできます。ユーザーがいずれかのキャッシュ・グループに発注すると、アプリケーションによって、FLUSH CACHE GROUPリクエストが発行され、ショッピング・カートの内容がOracleに送信されます。
図1.16 USERMANAGEDキャッシュ・グループのレプリケート